あらすじ

三枝慎一は、人間関係を徹底的に可視化する男だ。 スマートフォンに登録された1,247件の連絡先は、スプレッドシートで「親密度」「活用頻度」「期待収益」「回収済み額」として整理され、色分けされている。 紹介、接待、情報交換――すべては数値に置き換えられ、関係は常に評価され続ける。 彼にとって人間関係とは、曖昧な感情ではなく、管理と最適化の対象だった。 その手法によって、三枝は確実に成果を積み上げてきた。 無駄のない関係、無駄のない時間。そこには一切の迷いがない。 しかしある日、彼の前にひとつの違和が生まれる。 旧友・岸本涼子から届いた、見返りも目的も見えない連絡。 それはこれまで彼が扱ってきたどの関係とも違っていた。 評価の軸に乗らず、数値にも変換できない。 それでも、その存在は確かにそこにあり、彼の中にわずかな引っかかりを残していく。 すべてを整理し、管理してきたはずの世界の中で、 どうしても扱えないものがあるとしたら――。 これは、可視化された人間関係の、その外側に触れかけた男の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/06/13
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