あらすじ
【あらすじ】
かつて王都で名を馳せたSランク上位パーティー「白銀の四星」には、仲間を守ることに長けた前衛剣士がいた。
名はリオル・グレイン。
だが、ある討伐で仲間を庇ったリオルは、未知の魔眼の閃光を浴びて視力を失う。治癒魔法でも解呪でも目は戻らず、彼は一年をかけて、黒い杖の先から細い魔力を流し、床や壁に触れたものの形を拾う技術を身につけた。
見えているわけではない。
文字も、色も、人の顔も、空中から飛んでくるものも分からない。それでも、足の向き、重心、手に力が入る瞬間なら分かる。リオルは昔の剣を打ち直した黒い仕込み杖を手に、名前を隠して旅に出る。
うまい飯を食べて、知らない町をゆっくり歩く。
その程度のつもりだった。
しかし旅先で出会った荒い女剣士リゼとともに、困っている人を助け、悪人や魔物を杖一本で退けていくうちに、正体不明の盲目剣士として噂になっていく。
人々は彼をこう呼び始めた。
黒杖の盲剣士、と。
一方その頃、リオルが去った王都では、元仲間たちが彼の不在を抱えたままSSランクへ到達していた。彼を置いて進んだつもりはなかった。彼がいたから、ここまで来られたのだと伝えたかった。
だが、その言葉が届く前に、リオルはもう別の場所で歩き始めていた。
これは、視力を失った元Sランク剣士が、過去から逃げるのではなく、自分の新しい歩き方を見つけていく物語。