あらすじ
【ワールド・オブ・サドニス】あらすじ
「都会村」で働く大信は、不思議な声を持つ老人・和彦と、静かな信念を持つ同僚・友子に出会う。和彦の声はラジオを通じて世界を平和へ導くが、それは人々の自立を奪う「依存」という歪みを生んでいく。
和彦が命を削り放送を続ける中、大信はものまね師として暗黒街の興行の世界へ身を投じ、打ちのめされながらも、真の声を探し求める。やがて和彦が倒れ、彼の声を失った世界が再び戦争へ暴走したとき、大信は友子の協力を受け、喉を枯らし「声」を継承する覚悟を決め、世界に向けてラジオのマイクを握る。
核の着弾まで12分。大信と友子が絶望の淵で歌い上げたのは、人間の業と愛を叫ぶ魂の絶唱だった。
声に世界は救えるか?
戦慄の人間賛歌。
【ワールド・オブ・サドニス】登場人物一覧
<主人公>
足立 和彦(あだち かずひこ)
通称「爺さん」。都会村に住む老人。その「声」には聞いた者の心を震わせ、争いを止めさせる不思議な力が宿る。ラジオ番組『ワールド・ディスクジョッキー』のパーソナリティ「内山武夫」として、世界を平和へと導こうとするが、その代償として命を削っていく。
矢崎 大信(やざき ひろのぶ)
一見、怠け者で風采の上がらない青年だが、内面には繊細な感性と孤独を抱える。和彦との出会いを通じて「ゴミ拾い」を始め、人生が大きく動き出す。のちにものまね師「スパイシー矢崎」として暗黒街へ身を投じる。
桜谷 友子(さくらや ともこ)
大信の同僚。和彦に「婆さん」の愛称を許した唯一の理解者。和彦の「声」がもたらす光と影を誰よりも深く理解し、和彦の独善を時に厳しく見守る。世界が破滅へと加速する中、大信の凄絶な覚悟を分かち合い、共に声を上げ続ける。
<都会村・会社の人々>
係長
大信の上司。和彦とも顔なじみであり、大信に退職する和彦の席を割り当てる。
和菓子屋の親父・良夫
都会村で唯一の和菓子屋。和彦の小学校時代からの腐れ縁で、口は悪いが仲が良い。和彦の「声」の真実を知る数少ない理解者。
「バーガー1&2」の店長
和彦が短期間アルバイトをしたファーストフード店の店長。和彦のトークによる「ミルク爆売り事件」の目撃者。
<暗黒街の面々>
謙吾(けんご)
暗黒街を支配する冷酷なヤクザ。大信の「弱さ」を見抜き、執拗にいたぶることで彼を精神的・肉体的な極限へと追い込む。大信が「声」を手に入れるきっかけを作る。
ラブタクシーの運転手
謙吾に追われる大信を乗せたタクシー運転手。共に川へ放り込まれる惨難に遭うが、大信が和彦と同じ「声」を手に入れた最初の目撃者となり、彼の旅立ちを励ます。
キャバレー「アフレイド」の店員たち
大信がものまね師「スパイシー矢崎」として出演していた店のスタッフ。謙吾を恐れつつも、大信を心配する若者たち。
<放送・ニュースの中の人々>
ラジオ局のプロデューサー・局員
和彦の才能を見出し、のちに大信の決死の放送をサポートするメディア関係者たち。
中川レポーター
和彦が巻き起こした「ワールド旋風」を取材するテレビレポーター。街の若者や暴走族「神風轟轟」にインタビューし、番組の異常な人気を伝える。
各国の大使・首相
和彦からの「一本の電話」を受け、その声に涙し、核ミサイルの発射を思いとどまった指導者たち。
<その他>
大信の下宿の珍住人たち
大学生、浪人生、大家の老夫婦、知らないおじさんなど。大信の部屋に集まり、皆で和彦のラジオに聞き入る、かつての平和な都会村の象徴。
過去の幻影たち
大信が気絶した際に見る、幼少期のいじめっ子、家族、教官など。大信のトラウマの源泉。