あらすじ
服が大好きな王様は、ある日、怪しげな仕立て屋から「愚か者には見えない服」を買った。
大臣にも、国民にも、その服は見えなかった。
しかし王様には、金糸の刺繍まで見えていた。
「こちらには、王様の自信だけがかなり太い糸で見えています」
だが、その服には本当に力があった。
王様の「自分には最高の服が見えている」という強烈な確信が魔力の膜となり、矢も槍も剣も、ついにはドラゴンの炎すら弾いてしまう。
国民は困惑しながらも、少しずつ王様を信じ始める。
「王様、服は見えないけど強いぞ!」
そんな中、西の大陸からゼロクロス帝国が侵攻してくる。
皇帝の名は、裸装皇帝ヌーデリウス。
服こそ人を分ける悪。
羞恥心を捨てた者こそ強い。
そう信じるヌーデリウスは、世界中の服を奪い、全人類を透明鎧の民にしようとしていた。
自分の見えない服を民に強制するつもりはない王様は、初めて王として怒る。
「私は自分の服を着ている。民に恥を押しつけてはいない」
王様の服は見えない。
だが、民の服を守ろうとする心だけは見えていた。
国民の信仰をまとった見えない服で、王様は裸装皇帝ヌーデリウスとの決戦に挑む。
その戦いは、外から見るとかなり国際的な相撲だった。