あらすじ
――雀の子をば、犬君がにがしつる。
北山で、光はひとつの声を聞いた。
顔も、名も、まだ知らない。それなのに、その声だけが、いつまでも残った。
都に、置いてきたものがある。
休みに来たのか、離れに来たのか――それさえ、光は自分でも言えなかった。
光源氏を、令和の恋愛と人生の物語として読み直す。
平安最強の皇子は、顔も、才も、家柄も、すべてを持っていた。
けれど、愛され方だけを、知らなかった。
届かない恋。そばにいた、誰か。まだ名前のつかない日々。
愛されたい少年は、やがて何を愛と呼ぶのか。