あらすじ
大阪の商店街で買い物帰りだった山田千代子は、ある日突然、異世界アルヴェリア王国へ聖女として召喚される。
だが、神殿が待ち望んでいたのは、白い肌と清らかな瞳を持つ美しい乙女。現れたのは、ヒョウ柄の上着にくるくるパーマ、買い物袋と長ネギを持った大阪のおばちゃんだった。
大神官たちは千代子を聖女と認めようとしない。しかし、避難民の子どもが黒い瘴気に倒れたと聞いた千代子は、神殿の都合など待たずに動き出す。
「神さんの話は、そのあとでええ」
飴ちゃんで騎士の疲れを癒やし、鍋一つで避難民の体を温め、困っている人を放っておけないおばちゃんは、次々と人々を救っていく。
さらに千代子には、人の心に染みついた嘘や悪意を匂いとして感じ取る「魂香識別」の力があった。食料を出し渋る生活支援大臣マルセルの心の匂いを嗅ぎ取った千代子は、彼を叱り、働かせ、ついには心から反省させる。
聖女らしい祈りも、清楚な姿もない。
けれど、泣いている子どもを放っておけず、空腹の人に温かいスープを配るその姿は、やがて人々の希望となっていく。
これは、美少女にならなかった大阪のおばちゃんが、そのままの姿で異世界を救っていく、人情聖女物語。