あらすじ
匿名掲示板「倫理ちゃんねる」に立った一本のスレッド。
テーマは、「異世界なろう読者はバカだよな?」
チート、追放、ざまぁ、奴隷ヒロイン、現代知識無双。
同じような快感を何度も求める読者たちを、スレ主は「物語を読んでいるのではなく、快感ボタンを押しているだけ」と切り捨てる。
最初は嘲笑と反発で始まった議論だった。
しかし住民たちは、やがて問いを掘り下げていく。
疲れた人間にとって、都合のいい異世界は救いなのか。
「ざまぁ」は復讐なのか、それとも現実で得られなかった判決なのか。
奴隷ヒロインや追放ものは、ただの娯楽か、それとも倫理的な鈍さを育てる装置なのか。
そして、なろう読者を見下す者たち自身もまた、「自分はあいつらより上」という別種の無双に酔っているのではないか。
読者はバカなのか。
作品がバカに合わせているのか。
それとも人間は誰しも、バカでいられる場所を必要としているのか。
煽りから始まったスレッドは、やがて現代の物語消費、自尊心、逃避、正義、そして「自分が何に気持ちよくなっているのか」という問いへたどり着く。
これは、異世界なろうを笑うためのスレではない。
笑っている自分自身の欲望まで、静かに照らし返される掲示板型倫理ドラマである。