あらすじ

侯爵令嬢エレノア・フェアチャイルドは、春の園遊会の場で突然、婚約者である公爵令息セドリックから婚約解消を言い渡される。理由は、慈善事業の支援金流用や温室事故の責任など、身に覚えのない罪だった。さらに彼の隣には、可憐でか弱い男爵令嬢ミレイユが寄り添っていた。 信じてもらえない相手と未来を築くことはできない――そう悟ったエレノアは、潔く婚約解消を受け入れ、王都を離れて自らが整備してきたローズウッド領の薬草園へ向かう。傷つきながらも仕事に打ち込み、薬草栽培や診療所への支援を続ける中で、彼女は少しずつ自分の人生を取り戻していく。 そんな彼女の前に現れたのが、北方辺境伯ルシアン・ハイデンだった。彼はエレノアの知識と誠実さを正しく評価し、北方診療隊との薬草取引を持ちかける。やがて二人は協力関係を築きながら、エレノアに着せられた罪の裏側に、植物園関係者・商会・貴族たちの利権と陰謀が絡んでいることを知る。 調査が進むにつれ、婚約解消騒動が単なる恋愛沙汰ではなく、エレノアを排除して薬草事業を支配しようとする企みだったことが明らかになる。王都の舞踏会でついに真相が暴かれ、エレノアの潔白は証明される。セドリックは過ちに気づき謝罪と復縁を望むが、エレノアはきっぱりと拒絶する。 「私は、私を信じない人と一生を共にできません」 それが彼女の選んだ答えだった。 その後も妨害は続き、薬草園の温室が放火されるという事件まで起こる。しかしエレノアは屈せず、ルシアンの支えを受けながら温室を再建し、自分の仕事と誇りを守り抜いていく。何より、彼は彼女を“便利で有能な存在”ではなく、ひとりの人間として尊重し、支えようとしてくれる相手だった。 やがてエレノアは、過去の婚約では得られなかった安心と信頼を、ルシアンとの関係の中に見出す。すべての事件に決着がついたあと、白薔薇の咲く温室でルシアンは静かに想いを告げ、エレノアもまたその気持ちに応える。 婚約を失った日、エレノアはすべてが終わったと思っていた。けれど本当は、それは終わりではなく、自分のために生きる人生の始まりだった。 白薔薇はもう、誰かに選ばれるためには咲かない。 自ら選んだ場所で、誇り高く咲くために――。

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小説を読もう2026/06/13
  • 現在の作品白薔薇はもう、あなたのために咲かない