あらすじ
痛みのない世界は、救いですか。それとも、絶望ですか――。
現代の地方都市。中学二年生の志賀陽(ハル)のスマートフォンに、ある日突然、見慣れないアプリが強制インストールされた。画面に表示されたのは、自身の「命の残高」を示すカウントダウン。
その数字を増やす唯一の方法は、他人の【五感】を奪い取ることだった。
クラスメイトたちが生き残りを賭けて、静かに、そして苛烈に互いの知覚を奪い合う「間引き」が始まる。
家庭環境に苦しみ、最初に「痛覚」を差し出した少女・ナツメ。
恐怖から逃れるために他人の「視覚」を貪り、ノイズに狂っていく少年・キョウヤ。
合理主義者のハルは、誰も傷つかない最適解を導き出そうと奔走するが、欠落していく日常の狂気は、少年たちの精神を確実に摩耗させていく。
――すべてを失ったとき、最後に残る「僕」は誰だ?
湊マチが活字という極限の檻で描く、最も切なく、最も残酷な、少年少女の喪失の物語。