あらすじ
百年の眠りについた姫を救うため、王子は茨の森へ向かった。
しかし、たどり着いた森の入口には巨大なゲートがあり、そこにはこう書かれていた。
『眠り姫リゾート 茨の森ゲート』
誰も近づけないはずの茨は順路化され、姫の塔は待ち時間十五分。王子は本物の王子でありながら「救済受付二十七番」の札を渡され、ようやく姫を目覚めさせる。
だが、姫が目覚めたことで運営は困り果てた。
「主力展示が起きました」
百年の眠りは、いつの間にか観光資源になっていた。さらに近隣には、毒りんご、七人の小人、ガラスの棺を武器にしたライバル施設「白雪姫パーク」まで誕生していた。
焦る眠り姫リゾートは、姫に「眠っていた頃の再現」を、王子に「救済の再演」を、そして魔女に「招かれていないフリ」を依頼する。
招かれなかった恨みで呪いをかけた魔女は、百年越しに正式な招待状を受け取り、少しだけ救われかける。だが、その直後に「本番では招かれていない体でお願いします」と言われ、怒りを新たにする。
姫の怒り、王子の困惑、魔女の傷。
すべてが本物だった。
だからこそ、観光客には大ウケしてしまう。
これは、救われたはずの姫と、救ったはずの王子と、招かれたはずの魔女が、テーマパークの運営によって「本物の不本意」として売り出されてしまう物語。