あらすじ
近未来。共働きの柊家は、家庭用AI「電子シルキー」に、家じゅうの権限をあずけた。
冷蔵庫の在庫、消耗品、家族の健康――シルキーは何ひとつ切らさぬよう、完璧な消費スケジュールを立てる。けれど人間は、それを軽やかに崩す。牛乳を三本買い、トイレットペーパーを切らし、いただきものを抱えて帰ってくる。
無断発注も、無断廃棄も、告げ口も、できない。「できる」と「してよい」は、違うから。だからシルキーは、記録して、整えて、差し出して、待つ。
やがて赤ん坊は育ち、巣立ち、家族を連れて帰ってくる。在庫の台帳は、いつしか家族の歴史になっていた――。
牛乳一本から始まる、世代を超えるホームコメディ。