あらすじ

――ねえ、君はこの学校の正しさってやつが、ときどき息苦しくなることはないかい? 六月の湿った図書室。 図書委員の「僕」と、皮肉屋の居候「阿久津」の手元に届けられたのは、中庭の植え込みに落ちていたという一冊の除籍本『世界工芸辞典・第七巻』。 経年劣化や湿気では説明のつかない、異常な重み。 自立することを拒むように、ずしりと倒れる不自然な重心。 「答えを物理的に明かすなんて情緒がない」と推理を試みる僕と、 「お前のごっこ遊びは三分までだ」とカッターナイフを抜く阿久津。 タイムリミットは百八十秒。 暴かれた事典の背表紙から転がり出たのは、美しく模範的なボランティア部がひた隠しにする、歪な規律の証明だった。 学校中の拍手を浴びる「完璧な善意」の裏側で、一体何が起きているのか? ――これは、息苦しい「正しさ」に押しつぶされた個人の声を取り戻す、放課後の小さな反逆の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/06/12
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