あらすじ
アタシ、堀越桃香は挫折と妥協の末、ここ県立宮の北高校に入学した。第一志望の一流進学校に落っこちたから、仕方なく。そこそこの程度の学校で、かなりいい加減に過ごしてるアタシと親はなーんか上手くいってない。かくいうアタシも、髪を金色に染め、スカートをギリギリまで短くして、つまんない男子とデートして、チャラい生活してるけど正直なーんか上手くいってない。胸の奥の方にぽっかりと大きな穴が空いてるみたいな毎日。楽しくないワケじゃないけど、サイコーか?って言われたら全然違うような気がする。
そんな空き箱みたいな毎日を過ごしてたある日、アタシは授業をサボって旧校舎の資料室にいた。古くさい資料室にあった一冊の本。…山岳部の部誌?16年前、アタシが生まれた年だ。
一気に思い出す。小学校4年生の夏。パパと、お姉ちゃんと一緒に登った北アルプス。空の風、山の空気。土の匂い。最高に楽しかった。あの頃は、パパともお姉ちゃんとも仲良しだった。毎日がキラキラ輝いてて、希望にあふれてた。でも、今は…・
また、山に登ったら、あの頃に戻れるかな…って、そんなワケねーか。でも、どーしても気になった。
アタシは山岳部について調べた。
うちの学校の山岳部は10年くらい前に部員が0になって休部状態らしい。顧問の先生もいないみたいだ。
「休部」ってことはさ、また部員集めりゃ復活できるってコトじゃね?何人必要なの?え、5人?
ラクショーじゃん!5人くらいすぐに集めてやんよ!
…無理だった。令和の世の中に山に登りたいなんてキトクな高校生は5人もいなかった。
やっぱ無理かーってあきらめかけてたそんな時、アタシはアイツと出会った。
隣のクラスの坂田凛。真面目くさった鉄でできてるみてーな合理性の塊。
アタシは得意のスポーツでアイツに負けた。悔しくって泣けてきた。アタシはスポーツなら誰にも負けないと思ってたし、実際負けなかった。あれ、アタシってこんなに負けず嫌いだったっけ?受験に失敗してから、こんなにアツくなったことなかったな。そうだ。思い出した。アタシは負けるのが絶対にイヤだった。負けるくらいなら死ぬほど努力して食らいつく、そんな女だったな。
決めた。アタシはコイツをぜってえ山岳部に入れる。そんで思い出の北アルプス・槍ヶ岳でコイツに勝つ。コイツに勝って、パパやお姉ちゃんにも勝つ。アタシはいつまでも負けてらんないんだ。
前作「僕と北高山岳部とギャル先輩」の1年目、桃香先輩が主人公のお話です。前作も合わせてどうぞ。