あらすじ

灰色の空。 人類は生きていた。 いや、正確には――生かされていた。 実験廃棄物を運び、配給を受け、延命薬を飲み、眠る。 それだけの日々。 死は珍しくない。 名前を覚える必要もない。 どうせ明日には、また誰かが死ぬのだから。 そんな世界で八年。 廃棄物処理班として働く永人(エイト)は、仕事終わりに採血をしてくれる一人の研究員と、いつもの会話を繰り返していた。 「また熱?」 「いつものことだ。」 「便利だね、その言葉。」 「そうか?」 「そう。」 ただ、それだけだった。 だが、ある日。 彼女は姿を消した。 初めて抱く違和感。 初めて知る名前。 そして、自分自身の血液に隠された秘密。 人類が作り出したもの。 人類が失ったもの。 そして、人類が最後に選ぶもの。 これは、終わりの物語。 そして、始まりの物語。 ――『抗生物』

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カクヨム2026/06/12
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