あらすじ
他者の痛みを引き受ける治癒能力を持つ聖女ルミア。
彼女は長年、家族や婚約者である王太子レオンから道具として搾取され続け、ついに魔力が枯渇した「無能」として、冷たい雨の中で婚約破棄と追放を宣告されてしまう。
絶望に沈むルミア。だがそこに、黒竜に乗った大陸最強の「氷の女帝」イリスが現れた。
冷酷無比と恐れられる彼女は、ルミアの前にひざまずき、とろけるような甘い声で囁く。
「見つけた。私の、たったひとりの光」
実は幼い頃、ルミアは命がけでイリスの呪いを解いていたのだ。
イリスの城へ迎えられ、初めての温かい食事と惜しみない溺愛を受けるルミア。
安らぎの中で、彼女の治癒能力は「痛みを伴わない真の力」へと覚醒していく。
一方、ルミアを失ったレオンの国は、抑え込まれていた瘴気が溢れ出し破滅への道を歩み始めていて――?
これは、傷ついた少女が唯一無二の居場所を見つけ、本当の幸せを手に入れるまでの優しく温かい物語。
【登場人物紹介】
◇ルミア
没落した名家の令嬢。
美しい銀髪と翠の瞳を持つ。
他者の傷や病を癒す能力を持つが、その力が類まれなものであるため周囲には正しく理解されず、長年家族や婚約者から道具として搾取され、虐げられてきた。
自己肯定感が低く常に怯えているが、根は優しく芯の強さを秘めている。
◇イリス
大陸北方を支配する帝国の女帝。
漆黒の髪と黄金の瞳を持つ、大陸最強と謳われる魔心の持ち主。
冷酷無比な氷の女帝として恐れられているが、幼い頃に命を救ってくれたルミアに対してだけは別人のように甘く、底知れない執着と溺愛を注ぐ。
◇レオン
ルミアの元婚約者である王太子。
傲慢で自己中心的な性格。
ルミアの力を都合よく利用しつつも彼女を見下し、婚約破棄と追放を宣告する。
しかしルミアを失ったことで自身の領地と立場が崩壊していくことになり、破滅の道を歩む。