あらすじ
愛知県北部、岐阜との県境に近い山林地帯。
経済学部二年の大学生、南雲一輝は、祖父母と両親の死により、南雲家の広大な土地、現金、株式、不動産を相続した。
親族との揉め事はない。
遺産分割も、生前贈与も、すでに整理済み。
残されたのは、山林、旅館跡地、駐車場、農地、古い屋敷、そして「どう運用するか考えろ」という祖父の言葉だった。
一輝は考える。
名古屋にも岐阜にも近い。
道路もある。
土地も広い。
なら、駐車場、ホテル、商業施設、物流倉庫、観光施設。
やり方はいくらでもある。
そう思っていた矢先、相続した山の地下に、世界初のダンジョンが出現した。
巨大な水晶。
緑髪の管理補佐人格、コノハ。
金髪の管理補佐人格、フタバ。
そして一輝に付与される、最高管理者権限。
【オーナー権限付与】
【全属性魔法適性EX付与】
【管理者専用転移:有効】
【資源生成:有効】
【セーフゾーン設定:有効】
【転移ポータル設定:有効】
ダンジョンは、十万以上の階層を持つ世界唯一の超巨大資源地帯だった。
魔石、ミスリル、アダマンタイト、オリハルコン、星銀、次元石、世界樹の琥珀。
さらに、モンスター肉、黄金麦、月光魚、世界樹の果実、回復薬、宝箱、武具、防具。
世界中が欲しがる資源が、すべて一輝の土地から産出される。
だが一輝は、ただの冒険者にはならなかった。
ダンジョンを攻略するのは冒険者。
それを支えるのは運営。
セーフゾーン。
ホテル。
病院。
スーパー。
買取所。
鍛冶工房。
転移ポータル。
駐車場。
物流網。
警備会社。
ダンジョン内都市。
一輝は世界初のダンジョンを、危険な無法地帯ではなく、現代社会に組み込まれた巨大産業として整備していく。
もちろん攻略は自己責任。
ランクに合わない階層へ潜るなら、装備を整えろ。
物資を持て。
パーティを組め。
クランを作れ。
警告はした。
それでも行くなら、結果は本人のものだ。
冒険者たちは命と夢を賭けて地下へ潜り、南雲ダンジョンホールディングスは素材、宿泊、転移、物流、医療、食材、装備、輸出で莫大な利益を上げていく。
日本政府も、世界各国も、巨大企業も、南雲一輝を無視できない。
なぜなら、この世界にダンジョンは一つしかない。
そしてその唯一の所有者は、二十歳の大学生だった。
世界初。
世界唯一。
世界最大。
これは、南雲一輝がダンジョンを攻略する物語ではない。
世界初のダンジョンを所有し、運営し、産業化し、世界経済そのものを塗り替えていく物語である。