あらすじ
私立沙洲学園高等学校・1年D組。
表向きは、どこにでもある普通のクラスだ。
──本当に、そうだろうか。
一軍の頂点に君臨するギャルは、なぜか特定の話題になると口を閉ざす。爽やかなイケメンのクラスリーダーは、PCの画面を人に見せない。無口な筋トレオタクは、時折どこか遠い目をする。派手なインフルエンサーは、何かを恐れているような顔をする。粗暴なヤンキーは、ある一人の男だけには絶対に手を出さない。
そして担任の数学教師は──なぜか、生徒の素行調査書を持ち歩いている。
彼らが唯一、共通して「絶妙に黙る」瞬間がある。
誰かが、こうつぶやいた時だ。
「ヤコベってさ、なんかキモくね?」
──矢古部 翔(やこべ しょう)、15歳。
教室の隅でスマホゲームをしているだけの、赤点王の陰キャ。猫背、ボサボサ頭、口は半開き。どこからどう見ても、害のない地味な男だ。
ただ一つだけ、奇妙なことがある。
なぜかこのクラスで、困っている人間の「問題」が──気づいたら、解決している。
本人は何も言わない。気にしている様子もない。ただ、スマホをいじって、欠伸をして、カルピスソーダを飲みたそうな顔をしている。
──いったい、何者なんだ。
訳アリだらけのクラスが、少しずつ、一人の男を中心に動き始める。
ダークヒーロー黙示録、開幕。
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