あらすじ
辺境の雑貨屋を営む五十手前のおっさんは、王都で恐れられた元処刑人。
店に来る子どもを泣かせた悪党だけを、縄と針と油で後始末する。
魔法使いは詠唱前に、騎士は剣を抜く前に、貴族は地位ごと片づける。
■詳細あらすじ
辺境都市ラステルの南通りには、さびれた雑貨屋《からすの止まり木》がある。
店主のグレン・ガロウズは、眠そうな目をした五十手前のおっさん。
子どもに飴をおまけし、孤児に掃除の仕事を与え、店番の少女リナに売上帳で叱られるだけの、どこにでもいる店主だった。
だが、彼の店に来る者を泣かせた悪党だけは別だ。
犯罪商会の男がリナを泣かせた夜、商会の倉庫で二十人の悪党が壊された。
剣も魔法も使われていない。
使われたのは、縄、釘、油、分銅、裁縫針。
ただの雑貨屋に並んでいる品物だけだった。
グレンの正体は、かつて王都で都市伝説と恐れられた元処刑人“黒縄の執行人”。
魔法使いは詠唱前に潰す。
騎士は剣を抜く前に折る。
貴族は地位と証拠で吊るす。
彼は英雄ではない。
正義も語らない。
悪党をすべて裁く気もない。
ただ、自分の店に来る誰かを泣かせた相手だけを、罪に応じて後始末する。
その後始末はやがて、辺境都市の腐敗を暴き、王都暗部を揺らし、敵国帝国の工作すら壊していく。
これは、英雄になれなかった処刑人が、雑貨屋の店先から悪党どもの処刑台を組み上げていく物語。