あらすじ
「世界線の設計を依頼したい。」
砂漠の王国のヴィランが、ある日突然、設計士の主人公へ仕事を依頼。現地勤務。帰宅可。実生活への支障無し。報酬有り。肩書有り。風呂有り。
「マリク。……あれは、本当にあなたの姿だったのか?」
スカラベの眼が光り、優斗の視界は眩しく白んでいった。
しばらくすると、優斗の視界から、光がゆっくりと落ち着いていった。
目の前には、広く深い色の机。整理された紙束。ペンとインク。定規に算盤。見慣れた執務用品だった。ただし――。その質感が、やけに良い。製図用品店というより、高級文具店で扱われていそうな品ばかりだった。
「世界線を書けるのは、外からの者のみだ。」
これは、あるヴィランと設計士による、「夜明け前の三カ月」の物語である。
【登場人物】
黒川優斗…それなりに大人年齢の設計士。幼い頃に観たアニメ映画『ファリスと砂漠の王国』のファンで、当時買った「スカラベの筐」の玩具を今でも持っている。ある日、映画を見返していて気づいた。ヴィランであるマリク・ダマスクの負け方は、どう考えてもおかしい。本来の彼なら、あんなヘマをするだろうか?
マリク・ダマスク…王国の宰相。ズムール(緑オウム)とヤクート(赤オウム)を従え、スカラベの筐を操る。
シエラ・イリス…王国の姫。“ふさわしい相手”を数多く薦められるものの、まだ自分の望みさえよく分かっていない。しかしある日…?
ファリス・サフラーン…シャムサール王国へ旅の途中に訪れた冒険者。シエラ姫と偶然出会う。
【劇中映画】
『ファリスと砂漠の王国』
遠い砂漠の国、シャムサール王国。 旅の途中でその地を訪れた冒険者ファリスは、美しい王国の姫シエラと出会う。だがその裏では、王国を巡る恐ろしい陰謀が進んでいた。オリエンタルな世界を舞台に描かれる、愛と冒険のファンタジー超大作!
…しかし…?