あらすじ
その瞬間、彼女は笑っていた。それは俺の未来も同時に決めた――。
皇太子妃マリィ・アンを守るため、ルイーズ・ド・ブロア伯爵令嬢は禁術を学び、貴族たちを籠絡し、自らを悪評の渦中に投じた。
その一部始終を影から見ていたのは、皇太子妃の密偵・アルフォンス。動物にも人間にも愛される末っ子貴族の青年は、退屈しのぎのつもりで二人の女性の秘密を見守り続けた。
断罪の広間で、ルイーズは笑っていた。
その笑顔を見た瞬間、アルフォンスは気づく。これは使命でも義侠心でもない。ただ、この女の行く末を見届けたいという、抗いがたい衝動だと。
ルイーズの高潔な魂は、密偵の退屈を終わらせた。