あらすじ
王都をモンスターや脅威から守る、巨大な結界網。その維持のために義務付けられた「三ヶ月に一度の法定点検」——しかし平和に慣れきった民間人にとって、それは高額な費用を毟り取っていくだけの「無駄な出費」でしかない。
現場へ行けば罵声を浴びせられ、事務室に戻れば手抜きを隠蔽する同期と、責任を押し付ける上司が待っている。下級点検員アルドの日常は、そんな『外れくじ』の現場を這い回るストレスの連続だ。
だが彼には、一つだけ譲れないことがある。綻びを見つけたら、必ず直す。誰が見ていなくても。感謝されなくても。見過ごせば、王都が終わる。
王宮の深部から犯罪組織の根城まで、泥と悪臭にまみれながら世界の裏側を支え続ける男が、教科書しか知らないエリート新人・ルチアを相棒に、国家規模の綻びへと挑む。
これは、誰に褒められることもなく、それでも 結界魔導具を点検し続ける職人の、静かな意地の物語。