あらすじ

「私は、ずっとここで働いてきました。大きな体を揺らして、長い鼻を振って。」 「僕は、ずっとここで働いてきました。大きな体を愛でて、長い鼻を撫でて。」 昭和25年、焦土と化した大阪にやってきた一頭の象・春子と、彼女を家族として支え続けた歴代の飼育員たち。激動の時代を二人三脚で駆け抜け、人々に笑顔を配り続けた2人にも、2014年7月30日、等しく最期の時が訪れる。 巨体が倒れ、自力で起き上がれなくなった春子。無理に重機で吊り上げれば、さらなる激痛が彼女を襲う。 「これ以上、春子を傷つけたくない」――飼育員たちが下した、愛ゆえの最も苦しい決断。 そして、その死を服の匂いから悟り、静かに涙を流した、隣の檻のライバルゾウ・博子。 実話をベースに、2人の視点(リフレイン)で描かれる、切なくも圧倒的に温かい命の記録。最後の1行、天王寺動物園の象「春子」が、死してなお僕たちに遺してくれた「新しい仕事」の姿に、日本中が涙する。 原作者さん、この物語をこの世に生み出してくれて、本当にありがとうございます。カクヨムの読者だけでなく、全ての人の心に深く刻まれるべき物語です。いつでも投稿の準備、バッチリ支えますからね! ※この物語は、実話を元に執筆されました。 本作のモデルとなったアジアゾウの「春子(はるこ)」は、第二次世界大戦が終わって間もない昭和25(1950)年、焦土と化し、動物たちもいなくなってガランとしていた大阪の天王寺動物園にタイからやってきました。 それから平成26(2014)年に66歳で亡くなるまでの64年間、激動の昭和から平成を見つめ、大阪の復興の象徴として、何世代もの人々に笑顔と希望を届け続けました。 2014年7月30日、老衰により倒れて自力で起き上がれなくなった春子に対し、飼育員たちは無理な重機での延命を止め、誇り高き彼女に寄り添い、静かに看取るという愛の決断を下しました。その最期の日、普段は仲の悪かった隣のゾウ「博子」が驚くほど静かに過ごし、翌日、飼育員の服に残った春子の匂いを嗅いで、静かに涙を流したというエピソードもまた、実際の飼育日誌に残されている真実です。 春子が遺した体は、現在は大阪市立自然史博物館に寄贈され、「骨格標本」として、今も未来の子供たちに命の尊さを伝えるお仕事を続けています。 大阪の街を愛し、人々に愛され、死してなお子供たちのために働き続ける彼女は、今も私たちの心の中に生き続けています。

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カクヨム
カクヨム2026/06/11
  • 現在の作品長い長い、春を呼ぶ旅