あらすじ

水無瀬家には、ひとつの呪いがある。 その家の男が本気で愛した女を小説に書くと、女は少しずつ現実から遠ざかる。 足音が消え、足跡が残らなくなり、やがて男の書いた物語の中へ閉じ込められる。 白峰遠子は、家の箔を得るため、没落した旧家の悲恋作家・水無瀬紘明へ嫁ぐことになった。 婚礼前夜、ばあやは彼女に三つの禁忌を告げる。 一つ、あの男を本気で愛してはならない。 二つ、あの男に本気で愛されてはならない。 三つ、あの男の原稿に自分の名前が出て来たら、すぐに屋敷を去ること。 けれど、月下香の香る屋敷で出会った紘明は、遠子にどうしようもなく惹かれていく。 彼は遠子を愛し始める。 愛するほどに書きたくなる。 書けば彼女は自分のものになる。 しかし書けば、彼女は小説の中へ消えてしまう。 上品な官能と怪異が滲む、大正幻想恋愛譚。

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エブリスタ2026/06/09
  • 現在の作品月下香のファムファタル