あらすじ
「すめ神の 今日の神楽に あう人は 千とせの命 延ぶというなり……」
静まり返った北の大地の神社で、橘夕柚(たちばな ゆず)は初めて神楽殿の舞台に立つ。
彼女がそこで知ったのは、華やかに舞うことではなく、神様を呼び寄せ、その場を清めるための「神楽歌(かぐらうた)」の存在だった。
ただの女子高生だった夕柚が、五・七・五・七・七の古い和歌に宿る「言霊(ことだま)」の力に触れ、言葉の意味を深く知るごとに、声に迷いがなくなっていく。
冬の霜にも枯れない榊、万代までも色を変えない松。
歌に込められた千年の祈りが、現代を生きる人々の葛藤や悩みを、凪(なぎ)のように優しく静めていく。
張り詰めているのに、どこか優しい。
時間を忘れてしまうような、静かな時間をあなたに――。
古典の神楽歌をテーマに、大人の眼差しで丁寧に紡ぐ、心洗われる現代和風ファンタジー。