あらすじ
氷河期世代、ロストジェネレーション、見捨てられた世代。
1977年生まれの七塚光司は就職氷河期の最中に大学を卒業した。就職浪人を経て、北関東を中心とする葬儀会社に就職した。
その日その日を乗り越え、気づけば50に差しかかろうとしている。給料は上がらず、家族も友人もいない。独身ということで昼夜問わず新たな葬式のために会社に呼び出される。ただ死んでいないだけ。
七塚は突然コンビニ店員にキレてしまう。なぜキレたのか自分でもよくわかっていない。スマホでその様子を撮影されて、自身で「俺は終わった」と悟る。
しかし、日本各地で氷河期世代による「巻き込み型自殺」と呼ばれる通り魔殺人が頻発していた。ネットではその様子を撮影したショッキングな映像で持ちきりだったので、ブチギレたおじさんの映像が炎上することはなかった。
そして「巻き込み型自殺」の矛先は、いつしか政治家や官僚、起業家などの上級国民と呼ばれる人たちに移行していった。ネットで仲間を募り、複数で計画的に上級国民やその家族を襲い、その後に集団自殺をする。
七塚は厳重注意のみで仕事に復帰する。新たな担当は不倫中に殺された有名IT起業家の葬儀。喪主はその妻の黒川響子。喪主と年老いた両親だけの密葬をつつがなく終わらせる。
七塚には決して人に言えないことがあった。今まで誰にもバレることなく上手くやっていたが、その現場で意外な人物が彼の前に現れる。
「俺たちはやり返してもいいんじゃないか」
「チャンスも時間も大切な人も何もかも奪われ続けたんだ」
「何も許されなかった俺たちの最初で最後の主張だ」
突発的に起こっていた犯罪の火は徐々に大きくなり、やがて日本全体に広がっていく。