あらすじ
高校生になるまで全く信じていなかったけれど、どうやら世界には魔法も超能力もあるらしい。
皐月さんは魔術師だ。マッチも使わずに指先に火を灯したり、扇風機も回さず風を起こしたり、空のコップに手をかざして水で満たしたりもできる。それは普通、世間からは隠されている力で――皐月さんは部室の中でだけ、その不思議な力をわたしに見せてくれる。
その時間は、わたしにとってちょっと特別で。
何でもない日常の中に降ってきた、鮮やかな光の雫だったのだ。
高校生になるまで一度も出会ったことがなかったけれど、どうやら本物の超能力者は同学年にいたらしい。
といっても汐見は超能力が使えるようになったばかりの初心者で、魔術なんかの超常の力に対する知識が全然ないようだった。
いちおう魔術社会の秩序側に所属する魔術師としては、そんな危なっかしい存在は見過ごせない。監視と保護のため、見守る義務が私にはある。
……なんて、最初は思っていたけれど。
今では汐見は友人だ。まだ一ヶ月くらいの関わりだけれど、私はそう思っている。
だから別に、汐見に会いたいから部室に行ったっていいのだ。
友達、だから。
汐見と過ごす時の空気が好きだから、汐見の近くが居心地いいから、私は今日も部室に行く。
…………、なんだか言葉にすると恥ずかしいというか、ちょっと違う意味が混ざっているような?