あらすじ
過去を消すことが、彼の仕事だった。
統治知性セラフに管理された白い世界。記録保管局で働くアオイは、ある日「名前のない記録」に触れてしまう。その瞬間、見えるはずのない巨大な光の輪と、知らないはずの平原の風景が、瞼の奥に焼きついた。
消したはずのものが、消えていない。
名前を奪われたものは、夢として、歌として、どこかに残り続けている——。
歌を抱える少女イリス。すべてを知るような監査補助の男ルカ。三人が辿り着くのは、この世界が「壊さないために、ただ静かに薄めてきた」という真実だった。
失ったことにすら気づけないまま続く世界で、何を取り戻すのか。
静謐で思弁的なディストピアSF、全31話完結。