あらすじ

膝を壊し、生きがいを失って入院した母は、
面会室の向こうで、ひたすら喋り続けていた。

他人の不幸を笑い、
壊れた人間を「バカねえ」と切り捨てる。

その言葉は、まるで土足で踏み込むみたいに、
誰の中にも遠慮なく入り込んでいく。

俺はそれが嫌でたまらなかった。

けれど、母の声は消えない。
壁を越え、病棟に残り続ける。

「あんた、そんなんじゃ死ねないよ」

その雑な一言が、
なぜか人の“死に方”を壊していく。

理由はわからない。
ただ、退院の日、
あの場所にいた人たちは、母を見送りに来ていた。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
アルファポリス
アルファポリス2026/06/11
  • 現在の作品残響の面会室 —— 土足の女 ——