あらすじ
「世界は広い。だが同時に息苦しくもある」
何ひとつ飾られない白い病室。規則的に響く電子音。かつて絵描きの夢を天才に打ち砕かれ、最後の拠り所だった受験さえも冷徹な数字に拒絶された私は、すべてを諦め、伽藍洞な空白となって病室のベッドの上にいた。世間の人々はいつでも親切な笑顔を浮かべて、こう口にする。――頑張れば必ず報われると。
悪意なき正義に踏みつぶされてきた私の前に、ある日、一房の白百合が混じった花束が無造作に置かれる。
価値を知らない者に笑顔で切り取られた花。そして、夢を殺され消えゆく私。心臓の時針が静寂に向かう中、不条理な世界の因果律を前に、私が最後に選んだ選択とは――。
数々の絶望と葛藤を経験しながら、本当の自分に気づいていく物語。