あらすじ
江戸・神田の裏長屋に店を構える望月晴之進は、幕府公認ではない「民間の陰陽師」。羅盤を携え、厄除けや占いを生業とする一方、町で起こる不思議な事件の数々を解き明かす「陰陽探偵」としても知られています。
「盗まれた護符に残る妖怪の足跡」「夜ごとに響く古寺の鐘の音」「呪われたと噂される名刀や壺」「雪の夜に現れる大入道の足跡」——人々は目に見えない妖や呪いの仕業だと恐れますが、晴之進は知っています。世の不思議の九割は、人の心に潜む迷いや欲、恐れ、弱さが生み出した幻だと。
弟子の太吉を伴い、陰陽の理と鋭い観察眼で細工や嘘を見破り、事件の裏に隠された人間模様にまで踏み込む晴之進。単に犯人を追い詰めるのではなく、悩みや事情にも耳を傾け、誤解を解き、町に笑い声を取り戻していきます。
活気に満ちた江戸の町並み、商人や武家、庶民たちの暮らし、季節の行事や風習が生き生きと描かれる中、次々と起こる小さな騒ぎ。妖の仕業か、それとも人の業か——陰陽師の目で見る江戸の推理物語、ここに開幕です。