あらすじ
「あなた、“漏洩”と書かなかったのね」
その一言から、片桐梓の運命は少しずつおかしくなった。
巨大インフラ企業、御影重工グループ。
その情報保全本部には、社員から恐れられる部署がある。
技術流出対策室第三班。
通称、防諜対策班。
社内の火種を見つけ、関係者に踏み込み、事件になる前に潰す嫌われ者の実働班。
その班長・鷲頭零奈は、危険なほど美しく、危険なほど頭が切れ、そして悪事の匂いを嗅ぎつけると嬉しそうに笑う女だった。
片桐は、そんな鷲頭を止めることになる。
相手を追い詰めすぎる鷲頭に、
「そこから先は推測です」
「記録できません」
「不可です」
と言える人間として。
扱うのは、殺人事件ではない。
けれど、放置すれば会社も、人も、技術も壊れる。
技術資料の不自然な処理。
展示物に残された違和感。
社員の生活導線に入り込む外部サービス。
公開前技術を巡る小さな異常。
御影重工の影で起こる、小さくて危険な技術流出の兆し。
嘘を狩る女上司と、証跡で線を引く新人が、今日も社内の誰かに嫌われながら火種を潰していく。