あらすじ

砲撃の夜、敵国の将軍に拾われた。 声が出ない。生まれつきではなく、3歳のときから。理由は分からない。父は朝に軍と共に去り、娘の名前を記録に残さなかった。声のない令嬢を、誰かが探す理由などなかった。 敵国の屋敷に置かれた。言葉は通じない。文字も通じない。絵だけが、少しだけ通じた。 将軍は寡黙だった。侍女は最初、冷たかった。補佐は疑った。それでも季節が動くうちに、何かが少しずつ変わっていった。 ある夜、将軍が告げた。あなたの国の村を、焼いたことがある、と。 恩人だった。同時に、誰かの朝を消した人間だった。2つのことが同時に本当だった。どちらかを消せば楽になった。消せなかった。消したくなかった。 声がなくても、言葉がなくても、伝わるものがある。 伝わらないものも、ある。 それでも、ここにいる。 戦場から始まる、静かな愛の話。

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カクヨム
カクヨム2026/06/10
  • 現在の作品【異世界物語】声のない令嬢と、火を背負う将軍――戦場の泥から始まる、言葉のない愛の話