あらすじ
十年前、白石美緒は恋人だった神崎悠真と別れた。
海外の建築プロジェクトへ向かう悠真。
病気の母と店を置いていけなかった美緒。
好きだったのに、互いを思うあまり本音を言えないまま、二人は最後のキスだけを残して離れてしまった。
それから十年。
小さなカフェ「ミモザ」を営む美緒の前に、悠真が七歳の娘・莉子を連れて現れる。
莉子は、母を亡くしてから声を出して笑えなくなっていた。
悠真もまた、亡き妻・彩乃を愛した記憶と、美緒を忘れられなかった過去の間で立ち止まっていた。
美緒は莉子の母親にはなれない。
彩乃の代わりにもなれない。
それでも、ホットミルクの湯気の向こうで、泣けなかった女の子が少しずつ心をほどいていく。
十年前に渡せなかった指輪。
亡き妻が残した手紙。
忘れられない恋と、消してはいけない愛。
これは、過去をなかったことにせず、もう一度誰かを大切にするための物語。