あらすじ

毎朝、誰もいない広間でひとり声を上げる。 王国の結界を繕い、封印を守る詠唱。 それが私の、十年間の日課だった。 婚約者は私の声を耳障りだと言う。 報告をすれば黙れと遮り、夜会では口うるさいだけの女と笑う。 彼が隣に置いたのは、微笑むだけの令嬢だった。 彼女も声紋魔法が使えると、婚約者は言った。 ならばもう、私が声を上げる理由はない。 辞表を出し、引き継ぎを残し、私は王都を去る。 向かった先は、北の辺境。 古代の魔獣を封じる声を求める公爵領。 そこには、私の詠唱を守りの歌と呼ぶ人々がいた。 王都では、結界が揺らぎ始めていた。 偽りの声が封印を蝕み、条約が軋む。 声紋石はすべてを記録している。 耳障りだと封じた声が止まったとき、何が崩れるのか。 その答えを知るのは、声を奪った者自身である。

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小説を読もう2026/06/10
  • 現在の作品私の声を奪った婚約者が、誰にも守られなくなる日