あらすじ
高校二年生の春、藤代陽和(ふじしろ ひより)には「誰にも言えない秘密」があった。
一年前、彼女は東京のとある事件をきっかけに、この海沿いの町へ転校してきた。新しい教室で、新しい制服で、新しい笑い方で——陽和は「何もなかった少女」を演じている。
そんな彼女が、放課後の図書館裏でクラスメイトの結城凛(ゆうき りん)と、同級生の小鳥遊紬(たかなし つむぎ)に半ば強引に誘い込まれたのは、たった三人だけの「噓もちよりの会」だった。
ルールはひとつ。「今日ついた小さな噓を、ひとり一つだけノートに書いて持ち寄る」。ただし——その中に必ず一つ、"本当"を混ぜなければならない。
噓を見抜いた者には何の褒美もない。けれど、見抜かれた者は、その本当を口にしなければならない。
ボードゲームみたいな、ごっこ遊びみたいな、けれど時にナイフよりも鋭く心臓を抉る三人の遊び。やがて陽和は気づく。凛にも、紬にも、ノートに書ききれない「本当の本当」があることに。そして自分の抱える秘密が、二人とどこかで繋がっていることに——。
これは、噓でしか本音を語れない不器用な少女たちが、放課後の三十分だけ本物になる物語。