あらすじ

プロ棋士の夢に破れ、26歳で強制退会。 漣(れん)を待っていたのは、息子の敗北を「投資の失敗」と断じる実家の冷気だった。 すべてを捨てて逃げ込んだ下町の泥濘で、漣は一人の老人と出会う。 渡されたのは、北の果て、知床への片道切符。 「死ぬなら他所で死ね」 マイナス20度の原生林。剥がれ落ちる皮膚、止まらない震え。 そこには「勝負」も「評価」もない、圧倒的な自然の無関心だけがあった。 死と隣り合わせの極寒のなかで、漣は自分を縛り続けていた「将棋」という呪縛を、自らの手で殺していく。 勝ち負けの世界から降りたとき、人生は初めて呼吸を始める。 ポケットに忍ばせた形見の「歩」が、静かに漣の背中を押す。 最果ての地で、男は自らの「生」を取り戻す――。

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カクヨム
カクヨム2026/06/10
  • 現在の作品五五の歩(ごごのふ)