あらすじ
めちゃくちゃ刺激が好きだ。
新しい事業。
新しい街。
新しい出会い。
退屈だけは嫌いだった。
だから走り続けた。
俺――藤原大輝、25歳。
IT企業を経営している。
欲しいものは手に入れてきた。
金も。
地位も。
自由も。
だけど。
俺はバカなことをした。
本当に、魔が差したとしか思えない。
なんでよりによって――
あんな女に、ときめいたんだろう。
真面目。
どこまでも真面目。
約束は守る。
嘘はつかない。
危険なことは嫌い。
刺激なんて求めない。
俺とは正反対だった。
退屈な子だと思った。
いや。
正直に言うなら、
退屈なはずだった。
なのに気づけば、
もっと笑わせたい。
もっと困らせたい。
もっと驚かせたい。
もっと俺を見てほしい。
そんなことばかり考えていた。
あの頃の俺は、まだ知らなかった。
人生を変えるのは、
刺激的な冒険なんかじゃない。
たった一人の、
つまらない女だったことを。