あらすじ
魔法学院を卒業し、王立図書館の静寂を愛する研究員、エリアーナ。
彼女にとって恋とは、古びた魔導書の中にしか存在しない、淡く美しい幻想でした。
「女性だから恋がしたいものね?」
そう問いかけてきたのは、幼馴染であり、近衛騎士団の副団長を務めるリュカ。
世界中の物語を愛しながら、自分の心には鍵をかけていたエリアーナが、ある雨の日、現実の恋の熱さと痛みを知ることになります。
理想の王子様なんていない。泥だらけの剣を振り、不器用に愛を伝える、温度を持った「現実」の相手。
物語の結末を追い求めていた少女が、やがて一生かけて隣を歩きたいと願うようになるまでの、ささやかで、けれど誰よりも切実な日常の記録。
「物語は読むものじゃない。二人で紡いでいくものだったのね」
不器用な二人による、雨上がりのち、初夏の風のような異世界恋愛譚。