あらすじ

東京の街では、多くの若者が恋の傷、重圧、迷いに飲み込まれ、絶望へと足を踏み出していく。二十歳の浅野美緒は、幾度も恋に裏切られ、真心をすり減らし、ついに命を絶とうと決意した。すべてを終わらせようとしたその瞬間、謎のメッセージが届いた。死を選ぶ必要はなく、魂を売れば家族への恩返しとなる報酬が得られると誘う内容だった。 一抹の望みと家族への思いから、美緒は指示に従い、富士山麓に広がる有名な青木ヶ原の森へ向かう。世間ではここが絶望した人々が最期を迎える場所だと思われているが、誰も知らない——森の奥には闇の組織「血山舎」が潜んでいることを。彼らは安らぎや贈り物を餌に、苦しみに喘ぐ人々を誘い、魂の契約を結ばせている。 遺体は自殺したように細工され、世間の目を欺く。しかし奪われた魂は森に閉じ込められ、呪具に縛られ、永遠に輪廻も往生も叶わず、生前の苦しみを繰り返し味わい続ける。 一族の宿命を背負い、さすらう亡霊を見通す藤原一也は、異変を追ってこの魂を捨てる地へ足を踏み入れた。彼は百年にわたり魂を狩り続ける血山舎の陰謀を暴くだけでなく、迷いに陥ったすべての魂を目覚めさせたいと願う。死は苦しみから逃れる手段ではない。一時の逃避や妥協は、二度と抜け出せぬ深淵へと自らを落とすだけだ。生きることに数々の辛さがあろうとも、魂を守り続けてこそ、自らの道と帰る場所が存在するのだ。

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カクヨム
カクヨム2026/06/09
  • 現在の作品魂を捨てる森