あらすじ
「……処分されるのも時間の問題ね」
三十路を過ぎ、任務では生傷も増えました。若い頃は、もっと軽やかに動けたのですが……
奴隷であった私カリンダは、運よく貴族に仕えることのできるメイドの資質がありました。
そして、メイドとは主に代わり、敵対する貴族の機密や命を奪うことを生業とし、私は、そんな世界で最も極悪だと称されるビアンカ伯爵令嬢に買われ、長年仕えてきました。
ですが、そろそろ潮時かもしれません。私の傷を見るたび、お嬢様はため息交じりに引退をほのめかしていました。
メイドの引退とは『死ぬこと』を意味しました。元奴隷の上、機密を多く扱う仕事のため、処分されるのが通例でした。
それに抗うためには、忍び寄る刺客を撃退し続けるか、より大きな権力者に嫁いで身分を手にするしかありません――