あらすじ
コルネリア・フォン・リンドナー、二十歳。婚約破棄された回数、三回。
いずれも自分に非のない破談だったが、三度も続けば人は学ぶ。
「婚約は、壊れるもの」
四度目の縁談がまとまった日、彼女は初顔合わせの席で相手に一冊の冊子を差し出した。
題して『婚約破棄のお手順書』。円満な破談のための手続き、慰謝料の相場、社交界向けの声明文の雛形まで完備した自信作である。
だが四人目の婚約者テオバルトは、変わり者の研究家だった。
「興味深い。ですが第三章に欠陥があります」
彼は手順書を精読し、あろうことか「婚約を破棄されないための改善案」を逆に提出してきて——。
備えすぎた令嬢と、研究しすぎた青年の、手順書には載っていない婚約のゆくえ。