あらすじ
ヴァルシュタイン公国契約庁の監査役ローレンツは、冷静で礼儀正しく、感情を表に出さない男として知られている。
隣国クラウディア王国が不自然なほど栄えている理由を調べるため王都を訪れた彼は、東門で一人の令嬢に出会った。亜麻色の髪を低く結び、袖口にインクの跡をつけたその令嬢は、門前で起きていた荷馬車のトラブルを、静かな手際で解決してしまう。
後にその彼女こそが、王家に幸運を貸していたルディア・ルシュフォードだと知る。しかも彼女は王太子の婚約者だった。
諦めるべきだ。そう思った矢先、その王太子が彼女との婚約を破棄する。
これは、冷静な監査役が礼儀正しい表情のまま、心の中では初対面からずっとを推し続けていた男の、純情な感情。