あらすじ
凰朔国(おうさく)後宮「紫微宮」。
ここでは富も権力も、そして呪いさえも、魔晶石という結晶から生まれる。
鑑石院の末席技官・史明瑶(し めいよう)は、人の心よりも鉱物の結晶構造を信じる変わり者。
周囲からは「石ころ官」と呼ばれ疎まれているが、その目は誰よりも"真実"を見抜く。
ある夜、後宮の才人・白蓮が変死する。
指先と両目から翡翠色の結晶が涙のように咲き、巷では「哭晶(こくしょう)の呪い」と恐れられた。
だが明瑶はその死体を検分した瞬間、そこに"呪い"ではなく、緻密に計算された化学の犯行を見出す――。
結晶は、決して噓をつかない。噓をつくのは、いつも人間の方だ。