あらすじ
英語の授業中、羽黒承とクラスメイトたちは、前触れもなく異世界へ落ちた。
そこは、剣と魔法だけの世界ではなかった。城壁の上には銃口が並び、王国は要塞都市と書類で人を動かし、魔物との戦いはすでに近代戦の形を取り始めていた。
転移直後、羽黒が見たものは、全員の頭上に浮かぶ数字だった。
『0』。
自分も、友人も、クラスメイトも、全員がゼロ。
与えられた力は、敵を倒す剣でも、大魔法でもない。ただ数字が見えるだけ。けれど、その数字はやがて、誰が立っていて、誰が戻らず、何を見落としているのかを告げ始める。
帰れない転移者たちは、第二王城の庇護下で「雇用」される。勇者として扱われながら、実際には組織と戦場に組み込まれていく。三郷弦は前に立ち、羽黒は後ろから状況を見て、桐谷幸やクラスメイトたちもそれぞれの役割を選ばされていく。
夢のような異世界は、夢ではなかった。
紙片に数字は残る。けれど、そこにあった声までは残らない。
それでも羽黒は、失ったものを復讐で数えないために、戦場で見落とされた数字を拾い続ける。