あらすじ

気がつくと、少女は見知らぬ不思議な森の中にいた。 冷たい土の感触と、湿った草の匂いだけが現実のように感じられる。けれど、それ以外のすべてが曖昧で、自分がなぜここにいるのかも分からない。 覚えているのは、ただ一つ。 自分の名前が「マナ」であるということだけだった。 それ以上のことは、まるで霧に包まれたように思い出せない。家族も、故郷も、ここへ来る前の出来事も、何一つ手がかりがなかった。 ゆっくりと周囲に目を向けると、そこには奇妙なものがいくつか落ちていた。 群青色のローブ。 魔女のような形をした帽子。 そして、ひときわ目を引く、厚く重そうな一冊の本。 しかし不思議なことに、その本は手に取ってみると驚くほど軽く、まるで紙の重さすら感じないほどだった。 さらに、もっと奇妙だったのは――その本の中には、何も書かれていなかったことだ。 白紙。 ただの空白。 何かが記されていた痕跡すら見当たらない。 「……これ、何?」 声に出しても、森は答えない。ただ木々が風に揺れる音だけが、静かに返ってくる。 それでも、マナはその本を手放すことができなかった。理由は分からない。ただ、それが自分にとって大切なものであるような気がしたのだ。 これは、記憶を失った少女が―― さまざまな場所を巡り、さまざまな種族と出会い、少しずつ世界を知っていく物語。 そして同時に、自分自身が何者であったのかを探していく旅の始まりでもあった。

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カクヨム
カクヨム2026/07/04
  • 現在の作品記憶喪失の少女と物知りの書~記憶を失った少女が、亜人たちと世界を巡り、自分を探す物語~