あらすじ
一泊二日の楽しいキャンプを終え、夜の山道を走るレンタカーの車内。
疲れと眠気の中、後部座席の蓮(れん)は奇妙な違和感を抱いていた。
メンバーたちの笑い声や、お菓子の袋の擦れる音が、妙に車内で『響く』。
時を同じくして、スマートフォンは不気味な『圏外』を指し示し、カーナビは狂ったように砂嵐を吐き出し始める。
立ち込める深い霧の奥、突如として行く手を阻む巨大な土砂崩れ。
引き返そうと車外に出た男たちを襲ったのは、八月とは思えない凍りつくような冷気と、あらゆる音が死に絶えた、耳の痛くなるほどの静寂だった。
車内では異常に響き、車外では山彦すら返らない。
姿は見えない。けれど、確実に、何かがそこから俺たちを覗き込んでいる──。
世界から切り離された圏外のミニバン。
奴らの『包囲網』に囚われた5人の、最も長くて最悪な夜が始まる。