あらすじ
タイ北部の小さな村。
小学六年生の少女ナムは、祖母のもとで「モー・ピー」の見習いとして学び始める。
モー・ピーとは、祈りや儀式を行うだけの存在ではない。人々の悩みに耳を傾け、地域の歴史を記録し、薬草を学び、暮らしを見守る知恵の継承者である。
師匠が残した古い記録帳には、森の白い影、忘れられた村、川の増水、祭りの記憶、そして数え切れない人々の人生が記されていた。
ナムは答えを探しながら歩き続ける。
しかし学びが進むほど、師匠の教えはいつも同じ場所へ戻っていく。
「分からないことを、分かったふりをするな。」
霊は本当に存在するのか。
白い影は何だったのか。
その答えは最後まで語られない。
それでもナムは観察し、記録し、人の話を聞き続ける。
これはタイの民間文化を背景に描かれる、静かで温かな成長の物語。
文化人類学、民俗学、地域史、聞き書きの魅力を織り込んだ、新しい形の学びのファンタジーである。