あらすじ
「お前らが神と崇めるその聖剣――俺が昔打った『失敗作(ゴミ)』だけど?」
王都の天才たちが十年かけ、国宝ともてはやす至高の大剣。
それを一目見ただけで「欠陥品」と見抜き、鎚の一振りで粉々に砕き散らす男がいた。
男の名はガルドール。
辺境の工房に籠る、世界で唯一の『神域の修理工』。 彼が打つ鉄の重みは、この世界を維持するための楔(くさび)そのもの。
彼が一歩でも工房を離れれば世界の因果律が崩壊するからこそ、俺はここで大人しく鉄を叩いてやってるに過ぎない。
そんな事情を一切知らない傲慢な勇者や聖女たちが、今日も王都の権威を振りかざし、壊れかけの「伝説」を抱えて土足で踏み込んでくる。
「おい野良鍛冶屋、これを直せ! お前のような底辺には拝めない代物だぞ!」
手元のハンマーを握り直し、俺は冷ややかに鼻で笑った。
「泣き言を言うな。その剣、魂ごと叩き直してやる」
ガルドールは、壊れた武器をただ修理するのではない。
武器と共に摩耗した『世界』を、鉄槌の一撃(メンテナンス)で根底から調整するのだ。
完璧を誇るエリートどもの設計(プライド)を、現場の鉄槌が粉々に叩き潰す。
最強職人の英雄修理譚、ここに開幕。