あらすじ
戦場から生き残った領主ローゼン・クライゼンは、北国の地を治めながらも、自分だけが帰ってきたことを悔い続けていた。失った友人たちの未来の上に立つ自分が、穏やかな日々を望んでいいはずがない。そう思い、彼は屋敷に戻ってからも、どこか心だけを戦場に置き去りにしたままだった。
そんな彼のもとへ、南部出身の令嬢アリシアが嫁いでくる。明るく朗らかな彼女は、北国の寒さにも屋敷の静けさにも怯まず、ローゼンを当たり前のように夫として気遣い、眠れない夜にはそっと寄り添った。
やがて雪解けの日、ローゼンは毎年一人で向かっていた場所へ、初めてアリシアを連れて行く。そこで彼が向き合うのは、帰れなかった友人たちと、自分が生きていることへの罪悪感だった。