あらすじ
人は、ときどき「どうしてそんなことがわかったの?」と驚くような出来事に出会う。
嫌な予感がして道を変えたら、いつもの道で事故が起きていた。
忘れ物が気になって家へ戻ったら、結果的に大切な誰かと出会えた。
何となく胸騒ぎがして確認したら、問題が起こる寸前だった。
それは偶然なのか。
勘が鋭いだけなのか。
それとも、人にはまだ説明のつかない何かがあるのか。
この物語の主人公、相沢恒一は、そんな「最悪の気配」を誰よりも早く感じてしまう男です。
けれど彼自身は、それを特別な力だとは思っていません。
むしろ、自分が最悪を想像してしまうから、不幸が起きるのではないか――そんな疑いを抱きながら生きています。
だから、備えます。
誰にも気づかれないように。
何も起きないことを願いながら。
そして、もし何かが起きても、せめて間に合うように。
これは、派手なヒーローの物語ではありません。
少し重い鞄を持った、ごく普通の会社員の物語です。
ただ、最悪が来る前に立つために。
――『間に合う人』、はじまります。